R to S(Reserve to Stock)研究会の役割のひとつは、適正な資源化を達成するための「蓄積・集積」について考えてみることです。
集積後においては、運送効率・処理効率の向上などが期待できることは言うまでもなく、混合品などについては分別やDe-pollution(循環に対する忌避物の除去)などを行うことができることから、資源化促進のために「蓄積・集積」は必要な手段です。
今回、廃電池を二次資源として考えた場合により良い方向性を考えていくことを目的に、エリア全体で廃電池の管理に関する決まりを有しているEUの関連法規(廃電池指令:Battery Directive)とその評価レポートを検証しました。
EUのBattery Directiveにおいては以下のような考え方の特徴があります。
一方で、日本の廃電池の処理方式は欧州のそれとは異なっています。
一般に、先進国においては廃棄物に関わる制度の基盤整備が1970年前後に開始され、歴史・文化や地勢・気候などが考慮されエリアにより異なるものとなりました。EUでは連合体となった1990年代以降、EU委員会が決定した法律や指令にしたがって各国が基本的に同じ方向へ動くようになっています。
大型の蓄電池などを除く可搬型電池や電池を含む製品は、ほとんどが廃電池指令(Battery指令)と電気・電子機器の廃棄物指令(WEEE指令)で扱われています。そのシステムは各国それぞれの統括機関(PRO)の管理のもと、住民が地方自治体の設定した収集箇所まで持っていき、EPRの費用も使いながら運搬・処理がなされています。
一方、日本では、先に示した電池関係の仕組みのほか、小型家電リサイクル法などが関与しますが、EUと比較すれば運用方法は個別のセクターで収集費用もまちまちであり、全体の統一感はないのが現状です。
今回のEUでの自らの評価に関して、以下のとおり多くの問題が指摘されています。
EUと日本の廃電池に対する取り組みを比較してみて、制度の範囲や有害物質管理の考え方、回収スキーム、費用の問題などパフォーマンスが異なるものが多いなか、回収率の向上や他の制度との整合性、様々なリスクへの対応など、日本と同様の課題があることもわかりました。日本の回収率がEU諸国に比べて劣るであろうことは指摘されていますが、課題自体は同じで、どちらも進むべき方向性に関して大きな違いはないと考えられます。