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欧州委員会は指令の履行ならびにそれが環境およびEU域内市場の機能に及ぼす影響についてレビューすることが必要である。本評価書は電池指令 2006/66/ECに対して行われた評価である。評価は以下の項目に関して実施された。
また、本評価の実施以前に、電池指令2006/66/ECのいくつかの側面は廃棄物処理の流れに関する以下の指令とともに、2014年に評価されている。
さらに、電池に関する戦略的行動計画(2018)では、指令が時代遅れにならないために評価の重要性が指摘されていた。
電池指令で扱われる電池の種類は、可搬型電池(例えば、ノートパソコンまたはスマホ用など。代表的なものは円柱型の単3または単2サイズの電池)、電気自動車の牽引用蓄電池を除く自動車用バッテリー(例えば、自動車エンジンの始動用または自動車照明装置の電力供給用など)、および産業用電池(例えば、エネルギー蓄積用または完全な電気自動車もしくは電動自転車などの車両の駆動用など)であるが、当初は主に鉛蓄電池とニカド電池および通常の乾電池(マンガン・アルカリ乾電池)。
目指す方向は1)電池に含まれる有害成分の存在を抑制すること、および2)使用済み電池の適切な管理を確実なものとする措置を制定することであり、Hgの使用の禁止やニカド電池や鉛蓄電池の回収管理に関する社会的なスキーム構築に寄与してきた。
しかしながら、Li電池の急速な普及や電気自動車や再生可能エネルギーのストレージなどへの利用など、電池の種類や用途の変化があったこともあり、使用済みの電池の適切な管理の観点で評価を行ったものである。電池による環境影響は、抽出活動(一次原料採掘)から始まり、製造・使用・寿命末期・回収再利用まで一連の評価が行われている。
本評価を支援するために、欧州委員会は2016年、調査研究コンソーシアムに調査研究契約を発注し、作業は2017年初めに開始されており、委員会の規則である5つの評価基準(妥当性、有効性、効率性、一貫性およびEUの付加価値)に従って評価を行った。
評価者は、最も適切と考えられる利害関係者および利害関係者の団体(国内当局も含む)で、7回インタビュー形式による評価が実施された。また、12週間にわたる公開協議が、EU調査ツールを使用して、2017年9月6日~2017年11月28日の間に実施された。この協議は、一般市民および産業界、特に他の種類の協議に参加できなかった利害関係者を対象としたものであり、欧州委員会の協議専用ウェブサイトを介して一般公開された。廃棄物専門家グループ(電池)は2018年3月14日、このトピックに関する具体的会合を開催した。国内当局、事業者およびこれらのEU側統括組織を含め約60名の参加者が出席した 。
結果として、妥当性としては本指令が目的に対してどの程度妥当であったか、有効性に関しては、本指令が環境影響低減に対してどれだけ寄与したか、またうまくいかなかった場合はその理由などが論じられており、効率では、利害関係者の問題、費用の問題、新たなビジネスの適合性の問題などが論じられている。一貫性および内部整合性の問題では、廃棄物枠組み指令(WFD)、電池指令および使用済み電気・電子機器管理指令(WEEE)、電池指令および使用済み自動車(ELV)指令などの関連指令や、廃棄物輸送規則(WSR)および廃棄物統計規則(WSR)などの規則、REACHおよびRoHSなどの化学物質に関する法律などとの関係が論じられている。EUの付加価値ではEU市場の観点から検討が加えられた。各5項目についてそれぞれにサマリーが提示されている。
結論として抜粋・要約したものは以下である。
本指令によってEUの広範な枠組みが提供され、EPRの枠組みや有害物質の削減や管理の観点からは重要な役割を果たした。しかしながら、現在の状況下では、達成されるべき目的の特性および程度ならびにEU加盟国が実施しなければならない重要な措置について本指令はあまりにも一般的であり、以下のような改善を行っていく必要がある。
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